【もしものために知っておこう】子供がいなくてももらえる遺族厚生年金とは?

もしものために知っておこう子供がいなくてももらえる遺族厚生年金

こんにちは!ずしみです。

今回は、厚生年金の被保険者、つまり会社員が亡くなった場合に、残された遺族が受け取ることができる「遺族厚生年金」について詳しく解説します!

以前、別の記事で「遺族基礎年金」について解説しましたが、会社員の方はこれに加えて「遺族厚生年金」を受け取ることができます。

「遺族基礎年金」については以下で詳しく解説していますので、気になる方はこちらをご覧ください^^

もしものために知っておこう家族を助けてくれる遺族基礎年金とは? 【もしものために知っておこう】家族を助けてくれる遺族基礎年金とは?

朝チェン君

会社員だと、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金ももらえるんですか??

ずしみ

そうだよ、この2つの遺族年金は併給が可能なんだ。また、遺族基礎年金は子供がいる場合にしか支給されないけど、遺族厚生年金は子供がいなくても支給されるよ。

朝チェン君

な、なんと。年金額はどれくらいなんですか?

ずしみ

ざっくり言うなら、65歳からもらう老齢厚生年金の額の3/4くらいだね。ちなみに、厚生年金に加入していれば、長期間保険料を納めていなくてももらえる遺族年金だからね。

朝チェン君

最近思うのですが、厚生年金って国民年金じゃ足りないことろを上手くカバーするようにできてますね。

ずしみ

それだけ労働者を保護するようにできてるんだろうね。高年収な会社員の場合、奥さんが専業主婦のパターンも多いから、そういうケースにも対応できるようになってるんだよ。遺族基礎年金と併給できるから、もしもの時はどの程度の保障がされるのか知っておくと、今後のライフプランに役立つと思うよ。

朝チェン君

そうですね、ではいつもの通り簡単に解説お願いします!笑

ずしみ

了解!

遺族厚生年金とは

遺族厚生年金とは
厚生年金の被保険者である者、もしくは受給資格期間が25年以上ある者が死亡した場合、その者に生計を維持されていた遺族の生活を保障するために支給される年金

「生計を維持されている」とありますが、原則として次の要件を満たす場合をいいます。

  1. 同居していること(別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認めらる)
  2. 加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること

2については、配偶者の年収が850万円を境に判断されることになります。

朝チェン君

年収850万年は結構高いですね。ほとんどが「生計を維持されている」に当てはまりそうですね。

ずしみ

そうだね。生計維持の条件は遺族基礎年金と同じになるね。ただし、遺族厚生年金の支給条件は遺族基礎年金とは異なるからね。詳しく説明していくから、しっかりポイントを押さえていこう!

朝チェン君

ラジャです!

遺族基礎年金の支給条件

それでは支給条件を見ていきましょう。死亡した人が以下いずれかに該当していれば支給されます。

  • 厚生年金に被保険者であること
  • 厚生年金の被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)
    ※ただし令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられる
  • 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者
  • 1級・2級の障害厚生(共済)年金の受給権者

赤字の条件は遺族基礎年金と同じく救済措置が取られています。65歳未満であれば死亡した月の前々月から1年間に保険料を滞納なく納めていれば、遺族厚生年金を受けられることになっています。

死亡日の前々月から遡って1年間とあるので、もし5月に死亡したら、3月から遡った1年間で滞納がなければ問題ありません。

朝チェン君

滞納している人でも、これから1年以上納めていけば条件を満たせることができるってことですね。

ずしみ

そうだね。基本的に会社員であれば給与から控除されるから滞納はないと思うけど、会社員になる前に国民年金を滞納している人は注意が必要だね。

朝チェン君

なるほど、たしかにそうですね。

ずしみ

あと、遺族基礎年金は子供がいる場合にしか支給されないけど、遺族厚生年金は対象者はもっと広くなるよ。次で詳しく説明するからしっかり覚えておこう。

朝チェン君

ラジャです!

遺族厚生年金の支給対象者

支給対象となる人は以下になります。

  • 以下優先順位で受給権が与えられる
    「妻または夫または子」→「父母」→「孫」→「祖父母」

なお、以下留意点があります。ポイントとなる部分は赤字にしました。

  • 子、孫は18歳到達年度の年度末を経過していない者、または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者
  • 夫、父母、祖父母が受ける場合は、死亡時において55歳以上であること(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)
  • 子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付となる
  • 子のある配偶者または子は、遺族基礎年金との併給となる

ずしみ

遺族基礎年金は子供がいる場合に限られていたけど、遺族厚生年金の支給対象者はけっこう広くなっているよね。

朝チェン君

そうですね、子供がいなくても支給されるのは嬉しいです。もし子供がいたら遺族基礎年金との併給になるのも、これまた良いです!

ずしみ

子供が小さい場合は、残された遺族は生活が大変だからね。

朝チェン君

あと気になるのは、遺族厚生年金がどれくらいもらえるかですよね。

ずしみ

そうなるよね。基本的には亡くなった人の老齢厚生年金の額の3/4くらいになるよ。次で詳しく解説するね。

朝チェン君

お願いします!

遺族基礎年金の支給額

令和2年4月時点の支給額は以下となっています。

遺族厚生年金の額
遺族厚生年金の額 = 老齢厚生年金の報酬比例部分 × 3/4

※被保険者期間が300ヶ月未満の場合は、300ヶ月とみなして報酬比例部分を計算する

老齢厚生年金の報酬比例部分については、以下で詳しく解説していますので、計算してみたい方はこちらを参考にしてください^^

老後に備えて知っておこう会社員の厚生年金がくの求め方を解説 【老後に備えて知っておこう】会社員の厚生年金額の求め方を解説

報酬比例部分の計算は、2003年4月より制度改正により変更されいます。これ以上の期間で会社員になって死亡した場合の支給額を簡単にまとめましたので参考にしてください^^ 遺族基礎年金にプラスして支給される金額になります。
※被保険者期間が300ヶ月(25年)未満で亡くなった場合で計算しています。

平均標準報酬月額遺族厚生年金額
20万円246,645円
30万円369,967円
40万円493,290円
50万円616,612円
遺族厚生年金 支給額の例

朝チェン君

遺族基礎年金って、子供が1人いると年100万円くらいですよね。それに上記の金額がプラスされるって感じですか。

ずしみ

そうなるね。たとえ厚生年金の被保険者期間が300ヶ月(25年)未満でも、計算時に300ヶ月とみなして計算されるから、それなりの金額になってくると思うよ。

朝チェン君

たしかに。でも、そういえば遺族基礎年金は子供が18歳になったら支給が止まったと思いますが、遺族厚生年金の場合はどうなるんですか?同じく支給停止ですか?

ずしみ

良いところに気がついたね。では、次はその支給期間について説明しよう。

遺族厚生年金の支給期間

遺族厚生年金の支給期間は以下になります。

  • 子供が支給対象者の年齢の条件を満たしている間まで
  • それ以外は一生涯
    ※ただし、子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付となる

朝チェン君

なるほど、子供がいる場合は年齢が18歳になるまでですか。ってことは、それまでは遺族基礎年金と併給できるってことですよね?

ずしみ

そうなるよ。ちなみに、子供が18歳になったときに妻の年齢が40歳〜65歳未満なら、「中高齢寡婦加算」といって約58万円が65歳になるまで支給されるよ!

朝チェン君

えっ!そんなのもあるんですか?子供がいない場合はもらえないんですか?

ずしみ

その場合は、夫が亡くなったときに40歳〜65歳未満であれば、「遺族厚生年金+中高齢寡婦加算」でもらえるよ。40歳〜65歳未満の間で子供が18歳になるか夫が亡くなるかの2パターンどちらかに該当したら条件を満たすことになるね。また、別の機会に詳しく解説してあげるね。

朝チェン君

うーん、いろんなパターンで保障がついてるんですね。ぜひ別の機会でお願いします!

まとめ

  • 遺族厚生年金とは、厚生年金の被保険者が死亡した場合、その者に生計を維持されていた遺族の生活を保障するために支給される年金
  • 支給条件は、死亡した方が以下いずれかに該当すること
    ・厚生年金の被保険者
    ・厚生年金の被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡した場合(令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれ直近1年間で保険料の滞納がないこと)
    ・老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者
    1級・2級の障害厚生(共済)年金の受給権者
  • 支給対象者は以下の優先順位で受給権が与えられる
    「妻または夫または子」→「父母」→「孫」→「祖父母」
  • 支給期間は、子の18歳到達年度の末日(3月31日)を経過するまで。障害者の場合は、20歳に到達するまで、それ以外は一生涯支給される

「遺族厚生年金」の制度の内容はいかがでしたか?

厚生年金に加入している会社員の場合、子供がいるなら遺族基礎年金との併給ができます。遺族にはそれなりの収入が保障されていることになりますので、民間保険を検討する場合は、これら遺族年金でも足りない部分のみを考えると良いと思います。

ライフプランを考える上で、公的年金制度のしくみを知っておいて損はありません。ぜひ今後のライフプランに役立ててください^^
ではまた!