【老後に備えて知っておこう】会社員の厚生年金額の求め方を解説

老後に備えて知っておこう会社員の厚生年金がくの求め方を解説

こんにちは!ずしみです。

今回は、厚生年金に加入している人の「老齢厚生年金の受給額」の求め方について解説します!

「老齢厚生年金」って何??と思った方も多いと思います。

「老齢厚生年金」とは、厚生年金に加入している会社員・公務員の方が、65歳より受け取ることができる年金のことを言います。

年金と言っても、実は種類がたくさんあります。年金のしくみは、よく3階建構造で表現されますが、その中でもベースとなる1階部分が国民年金で、2階部分が厚生年金になります。

朝チェン君

ずしみさん、1階とか2階とかよくわからないのですが、どういうことですか?

ずしみ

大丈夫、その点も簡単に解説していくね。年金と言っても、実はいろんな年金が組み合わさって支給されているんだ。最もベースとなるのが国民年金、それに上乗せされているのが厚生年金なんだよ。今回は、この厚生年金の部分について解説していくね。

朝チェン君

ぜひ簡単におねがいしまっす!笑

年金のしくみを知らない人は意外と多いです。できるだけわかりやすく、簡単に説明していきますので、ぜひ最後まで読んで理解していきましょう^^

公的年金の構造を理解しよう

まずは年金の構造を理解するために、年金制度のしくみはどんなものか把握しましょう。

以下は、厚生労働省のホームページで公開されている年金制度のしくみをまとめたものです。

出典:厚生労働省/公的年金制度の概要

よく、年金制度が3階建構造と言われるのは、上記の図のようにそれぞれの年金が積み上がっているためです。1〜3階部分は、簡単に説明すると以下になります。

1階:国民年金(基礎年金) 
2階:厚生年金保険 ←今回説明する部分
3階:iDeCoや退職等年金など

今回解説するのは、青色の2階部分である厚生年金の部分になります。国民年金に上乗せされる部分ですね。

朝チェン君

へぇー。年金のしくみってこんな感じになってるんですね。会社員だと、厚生年金保険料って高いなーと思ってましたけど、国民年金に上積みされている部分だったんですね。

ずしみ

そうなんだ。年金のしくみって、意外と知らない人が多いんだよね。大事なことだから、まずはこういう構造になっているってことを知っておこうね。

朝チェン君

了解です!

年金のしくみ・構造について理解できたでしょうか?すべての国民が納めている国民年金は、年金制度の1階部分であり、年金を考える上でベースとなる部分となります。会社員は、この国民年金にプラスして厚生年金の部分の保険料を毎月給与から納めていることになります。

そのため、会社員は「国民年金+厚生年金」を受給できることになります。

今回は、この厚生年金について、受給条件や受給額の計算方法について解説していきますね。

1階部分の国民年金の受給額について詳しく知りたい方は、以下記事でまとめていますので、こちらを参考にしてください^^

【自分の年金額知ってる?】国民年金受給額の求め方を解説 【自分の年金額知ってる?】国民年金受給額の求め方を解説

厚生年金とは

厚生年金とは
民間企業に勤める会社員や公務員などが加入する年金制度。一定に条件を該当する事業所や法人は、強制的に厚生年金保険への加入が義務付けられている。

厚生年金保険に加入している企業に勤める会社員は、必然的に厚生年金保険の被保険者となります。そのため、保険料を毎月の給与から支払うことになります。ちなみに、保険料は事業主と折半しており、また個々の標準報酬月額と標準報酬月額をベースに計算されるため、一人一人で保険料が異なります。

標準報酬月額って何?と思われたかもしれません。標準報酬月額は、簡単にいうと、予め報酬額が1〜32等級で分類されており、自分の給与に該当する等級の金額が標準報酬月額になります。

上記の説明では、逆にわかりにくかったかもしれませんね。笑

もっと簡単にいうと、「あなたは給与が23万円なので、等級16の標準報酬月額が24万円で、保険料を計算しておくね〜」って処理されてる感じですね^^

では、そろそろ本題に入りましょう。

厚生年金に加入している人が、65歳から受給できる年金のことを「老齢厚生年金」と言います。次は、この「老齢厚生年金」について解説していきます。

老齢厚生年金とは

元々厚生年金には、以下2つの種類があります。

①特別支給の老齢厚生年金
②本来の老齢厚生年金

①は、男性なら1961年4月1日以前、女性なら1966年4月1日以前に生まれた人が、60歳〜64歳の間で受給できる年金です。

上記対象の方は、令和元年の時点でいなくなっているため、今回は②の「本来の老齢厚生年金」について解説します

老齢厚生年金の受給条件

まず、老齢厚生年金を受給条件について見ていきましょう^^

老齢厚生年金の受給条件
①老齢基礎年金(国民年金)の受給資格期間が10年以上あること
②厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あること

大前提として、老齢基礎年金(国民年金)の受給資格期間が10年以上ある必要があります。

この受給資格期間には、経済的理由などで国民年金保険料の免除申請を行なった期間も含まれます。そのため、必ずしも10年以上の間、保険料を全額納付していないと駄目ということではないので、注意してください。

受給資格期間については、先ほども紹介した以下記事で解説してますので、こちらを参考にしてください^^

【自分の年金額知ってる?】国民年金受給額の求め方を解説 【自分の年金額知ってる?】国民年金受給額の求め方を解説

老齢厚生年金の構成(内訳)

老齢厚生年金の構成(内訳)は以下となっています。

老齢厚生年金の構成
老齢厚生年金 = ①報酬比例部分 + ②経過的加算 + ③加給年金

老齢厚生年金のメインとなる部分は、①報酬比例部分ですが、③によっては合計額が大きく変わってきます。では、①〜③をそれぞれ解説していきます^^

①報酬比例部分

報酬比例部分は、老齢厚生年金のメインとなる部分です。

報酬比例部分の構成(内訳)は以下になります。

報酬比例部分の構成
報酬比例部分 = A(2003年3月以前の被保険者期間分)+ B(2003年4月以降の被保険者期間分)

なぜAとBの2つがあるかというと、2003年4月より「総報酬制」という制度の導入により、年金の計算方法が変わったためです。

A(2003年3月以前の被保険者期間分)

Aの期間の計算式は以下になります。

2003年3月以前の被保険者期間分の計算式
A:平均標準報酬月額(※) × 7.125/1000 × 2003年3月までの被保険者期間の月数

※ 平均標準報酬月額は、被保険者期間中の標準報酬月額を平均した額

B(2003年4月以降の被保険者期間分)

Bの期間の計算式は以下になります。

2003年4月以降の被保険者期間分の計算式
A:平均標準報酬月額(※) × 5.481/1000 × 2003年4月以降の被保険者期間の月数

※ 平均標準報酬月額は、被保険者期間中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を平均した額

朝チェン君

2003年を境に、計算が変わるんですね。

ずしみ

2003年の「総報酬制」の導入があったことで、それまで賞与で支払っていた厚生年金保険料の負担分も考慮されるようになったからだね。

朝チェン君

なるほど、たしかに平均標準報酬月額で年金額が決まってくるのなら、賞与も考慮してくれないと不満が出ますもんね。

②経過的加算額

経過的加算額とは、60歳から受け取る特別支給の老齢厚生年金と、65歳から受け取る本来の老齢厚生年金の差額を調整するためのものです。

上記説明だけではややこしく感じると思いますが、実際は数百円程度の加算額になるため、そこまで重要視しなくても大丈夫です。

計算式は以下になります。ちょっとややこしいです。笑

経過的加算額の計算式(令和2年度)
経過的加算額 = 定額部分の額 ー 老齢基礎年金相当額
=(1,630円 × 厚生年金保険の被保険者期間の月数(※1))ー (781,700円 × 厚生年金保険の被保険者期間の月数(※2) / 480月)

※1:上限は480月。20歳未満や60歳以上の被保険者期間を含む
※2:厚生年金保険の被保険者期間のうち、1961年以降で20歳以上60歳未満の間の月数

朝チェン君

なんか、めちゃくちゃややこしいですね。。

ずしみ

厚生年金に加入している人は、65歳から国民年金+厚生年金の両方を受給できるって説明したよね。計算式の中に出てくる「定額部分」は、60歳からの特別支給の中の国民年金に相当する部分なんだ。だから65歳で特別支給がなくなった場合を考慮して「定額部分」から「老齢基礎年金(国民年金)」を差し引いた差額分を、経過的加算額として調整しているんだよ。

朝チェン君

うーん、分かったような、分からないような。。

ずしみ

まぁ、計算すると数百円程度が加算されるだけだから、ぶっちゃけ気にしなくてもいいよ。笑

朝チェン君

では、気にしません!w

③加給年金額

最後は「加給年金額」です。これは、老齢厚生年金が受給できるようになった時に、その人に生計を維持されている配偶者、または子がいれば加算される年金です。

加給年金額が支給される条件は以下になります。

加給年金額の受給条件
・厚生年金保険の加入期間が20年以上(※1)
・65歳未満の配偶者(※2)、または子(※3)
 
※1:もしくは、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降なら15~19年
※2:配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上)、退職共済年金(組合員期間20年以上)または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止される
※3:18歳到達年度の末日までの間の子。または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子

加算される加給年金額は以下になります。(令和2年度4月時点)

対象者加給年金額
配偶者(※)224,900円
2人目までの子(1人あたり)224,900円
3人目以降の子(1人あたり)75,000円
加給年金額一覧

※配偶者の加給年金額は、以下受給権者の生年月日に応じて、特別加算額が加算されます(令和2年度4月時点)

受給権者の生年月日特別加算額加給年金額の合計
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日33,200円258,100円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日66,400円291,300円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日99,600円324,500円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日132,700円357,600円
昭和18年4月2日以後166,000円390,900円
配偶者加給年金額の特別加算額

朝チェン君

配偶者や子供がいる場合は、年金が加算されるのは良いですね!

ずしみ

配偶者の場合は、老齢厚生年金や障害年金が受けられる間は、加給年金は支給されないので、ここは注意しておこう!専業主婦など、老齢基礎年金(国民年金)のみ受給する配偶者を主な対象にしているんだろうね。

例で計算してみよう

老齢厚生年金の求め方を説明してきましたが、ややこしく感じた人は多いと思います。最後に、簡単な計算例を載せますので、求め方の参考にしてください^^

<前提条件>
・Aさん(60歳)
 20〜22歳:国民年金未加入期間(28月)
 以下、厚生年金保険加入期間
 22〜42歳(2003年3月) :平均標準報酬月額30万円、加入期間240月
 42〜60歳(2020年12月):平均標準報酬月額40万円、加入期間212月
・妻Bさん(55歳)専業主婦
※老齢基礎年金、障害年金の受給権なし
・子C(16歳)

<計算手順>
①報酬比例部分の額=A(2003年3月までの分)+B(2003年4月以降の分)
A:30万円 × 7.125/1000 × 240月 = 513,000円
B:40万円 × 5.481/1000 × 212月 = 464,789円
A+B = 977,789円

②経過的加算額
1,630円 ×452月ー 781,700円 × 452月/480月 = 659円

③加給年金額
390,900円(妻)+ 224,900円(子)= 615,800円

老齢厚生年金の合計額
① + ② + ③ = 1,594,248円

朝チェン君

厚生年金って、こうやって計算するんですねー。年金はこれで全部ってことですかね?

ずしみ

厚生年金は年金の2階部分だから、これに1階部分の国民年金(老齢基礎年金)がプラスされるよ。国民年金は満額で781,700円(令和2年度)だから、例の場合だと、大体230万円弱くらいになるね。毎月19万円って感じかな。

朝チェン君

それなりにもらえるんですね〜!でも、これだけでは子供がいるとちょっと厳しいですね(笑)

ずしみ

たしかに。共働きで、両方で厚生年金をもらえると、だいぶ変わってくるとは思うよ。でも、そこは夫婦の考え方次第だから、まずは現状で将来いくらの年金になるかを把握して、ライフプランを考えていくと良いと思うよ。

朝チェン君

たしかにそうですね!勉強になりました!

まとめ

  • 厚生年金に加入している人が65歳から受け取る年金は「老齢厚生年金」
  • 厚生年金は年金3階建構造の2階部分
  • 受給資格は、老齢基礎年金(国民年金)の受給資格期間が10年以上で、厚生年金の被保険者期間が1カ月以上ある人
  • 老齢厚生年金は以下の合計額
    ①報酬比例部分 + ②経過的加算額 + ③加給年金額

年金制度の2階部分である厚生年金(老齢厚生年金)の年金額の求め方はいかがでしたか?

計算が多少複雑ですが、求め方を理解できれば将来どれくらいの年金がもらえるかを試算することができます。

老後のライフプランを考える上でとても役立つので、ぜひ理解しておきましょう^^
今後も役立つ情報を積極的に発信していきますので、興味があればご覧ください♪
ではまた!